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Diary


ハイポニキウム
午前中のうちに二箇所、爪が割れた。 右手の人差し指と、左手の親指。 左手の親指はとくに重症で、爪のピンク色の部分までじっとりと見えてしまっている。 へんな形に割れて服やら何やらに引っ掛かるのがどうにも気になり、無理矢理ひん剥いてしまったのが大きな原因だ。 帰って爪切りややすりでどうにか整えるまで我慢したらよかったのに、どうしてこういう惰性にまかせると、普段は持ち合わせていない思い切りの良さが、ふいに発揮されるのだろうか。 いらぬ潔さのせいで、深爪のさらにひどいもののような状態となってしまった親指は、何かものに当たったりするとつんと痛みがある。 こうなってしまった爪は、そっとしておくのがいちばんだ。 と、頭ではわかっている。 けれども、ピンク色の肉肉しい部分、普段は固い爪で守られていて本来は空気に晒されるべきでない、やわらかくて頼りないその場所が、よく目につく指先でこうして露わになっていると、とても気になる。そしてつい触ってしまう。 うう、痛い。 でも気になる・・・。 乾燥なのか栄養不足なのかわからないが、というかどちらにも心当たりがありすぎて、わ
4月24日


歯が痛い
歯が痛い。 歯が痛いと、「歯が痛い」ということしか考えられなくなる。 抜歯後の経過がよくなく、もう1週間も痛みとともに生活している。 痛み止めを飲むと痛みレベルが10→6くらいにはなるので、なんとか人間の形を保てている。 とはいえ、6だ。 痛いよ、ふつうにね。 さいわい、これまでの人生で骨折だのなんだのという外科手術を経験せずに生きてきた。 唯一「手術」と呼べるようなのは7年前、変な方向に生えた親知らずを抜歯したときくらい。 大がかりな治療になるとのことで、わざわざ遠くの大学病院を紹介してもらったのだった。 そうだった、あれも歯のやつじゃないか。 今回抜いた歯は変な生え方をしてるわけではないので、かかりつけの街の歯医者さんで対応してもらえたし、手術って程のことではなかったはず。 ・・・だったのだが、抜歯後かさぶたの形成が不十分なまま、雑菌が入り込んで悪さしているらしい。 引き続き病院にはお世話になっているが、神の一手は存在しないので、どうにか安静にしてやり過ごすしか今できることはないようだ。 とはいえこの長引く痛みについて、何と言ったらいいのかわ
4月17日


おまもりアイス
たいした進捗もないまま、また今日という日が終わろうとしている。 叶わぬ計画を立てては希望を見出し、自分に裏切られてがっかりするのをやめたいと思っている。それはもうずっと。 時間は残酷なまでに平等に流れ、そして聞くところによると有限らしい。 「ちょっと待った!」ができたらいいのに、といつも思う。 早送りじゃなくていいから、ちょっとした一時停止ボタンくらい用意しておいてほしい。 わたしみたいな優柔不断で、くさくさしがちな人間にはね、ゆっくり腰を据えて、ふかーく考え込みたい時があるんですよ。 全世界をあまねく停止するまでいかなくとも、わたしひとり、ちょっと立ち止まってもどうか許されたいと願う日々である。 まあでも、もしそんなボタンがあったなら押しまくって、時間を止めまくって、わたしだけ年をとらないでいるのではなかろうか。 周りのみんなが刻んでいく時間に、わたしはいなくて。 そのほうが残酷かもしれないね。 さて、どうにもならない過ぎゆく時間に悩み続けるなんて、それこそ時間がもったいない話ではないか。 いらんことをぐるぐる考えてしまうのは、仕事に追われてい
1月9日


季節に遅刻する
知らぬ間に、秋はわたしを置いていってしまったらしい。 毎年11月くらいになると、なんとなく調子が優れない日が出てくる。 あたたかくして、深呼吸をしたり散歩をしたりしていたら、いつのまにか暦は12月になり、年も越そうかというころになった。 寒空を漂って、不調もどこかへ流れていったようだ。 この時期の変調について、「なんかいつものやな感じのやつか」と割り切ってから、いくぶん生きやすくなったような気がする。 いつまでも答えを探し続けるより、疑問とともに、ゆるやかに苦しみながら生きてみよう。 と、そんなふうに決めた日があったような、なかったような。 そのへんも、曖昧でいいのでしょう。 どこかしらに残り香はあるものの、鼻を抜けるつんとした冷たい空気や、きらびやかな街の装飾たちが、もう冬の只中にいることを嫌でも知らせてくる。 それらしい派手な音楽に、思わず心が躍ってしまう。 また今年も「なんかいつものやな感じのやつ」を乗り越えられましたね、と誰かが祝福してくれているのかもしれない。 のんびりと、ぬるい空気を引きずったまま支度していたら、時間はすっかりお昼前に
2025年12月26日


薔薇の香り
薔薇の香りを買った。 薔薇の香り、苦手なのに。 ルームスプレー、っていう呼び方でいいのかな。あらためて名称について考えてみるとよくわからない。お部屋の空気を、いい香りにするあれです。 つやつやした緑色の瓶が、しゃんと背筋をのばして佇んでいて、まんまるの蓋はすこしくすんだピンク色。ああなんてかわいらしい、くやしいよ、なんて思いながら、買ってしまったのだった。 でもね、わたし、薔薇の香りがすこし苦手なんです。 花々しい世界で勝ち続けてきたかのような、磨き上げられたその誇り高き上品さを前に、負けてしまうんだ、いつも。 沈丁花、クチナシ、蝋梅、フリージア、桜、とかとか。好きな花の香りもたくさん思い浮かべることが出来る。 とくに、お花屋さんに入った瞬間に押し寄せる青々しい緑の香りとか、思い出しただけで胸がきゅんとする。うれしくなって、気持ちがふわふわしてくる。 けれど、薔薇の香りがひらく世界には、わたしの居場所はないのだろうなって感じる。 わたしのような日陰者には、烏滸がましいというか、ふさわしくない感じ。 あまりにもまぶしい、強い光をもった香りだから。.
2025年12月19日
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